ハイリンド公演を楽しみにして頂いているお客様へ
【ハイリンドvol.20「グロリア」(3月25日(水)~31日(火)@ザムザ阿佐ヶ谷)公演中止のお知らせ】
2020年3月25日~31日に開催を予定しておりましたハイリンドvol.20「グロリア」につきまして、キャスト・スタッフと共に協議を重ねた結果、苦渋の決断となりましたが本公演を中止することと致しました。
本公演「グロリア」は、風船爆弾をテーマにした戦争の物語です。終戦間近の日本で作られた風船爆弾は、子供たちの手によって作られ、アメリカを目指して飛ばされました。「戦争は何も生み出さない、そこには加害者も被害者もない」というメッセージを込めて、未来を担う子供たちに見て欲しいという想いで上演期間も春休みに設定し、未就学児も観劇可能な回を設けるなど、様々な世代の方に観て頂けるよう上演形態を企画し、日々稽古に邁進して参りました。
しかしながら、この度のコロナウィルス感染拡大につき、政府より多数の方が集まるような文化イベント等に関しての感染リスク排除の観点からの延期又は規模縮小等の要請があり、重ねて先週末には全国の小中学校すべて臨時休校にとの通知がありました。それに伴い、観に来られるお子様方をはじめとしてお客様お一人おひとりの安心と安全を確保することは劇団としては大変難しく、また準備して参りました本公演の趣旨である「子供たちに見せる演劇」も実現し難い状況となりました。
熟慮の結果、一旦仕切り直して、皆様にご不安のない万全の状態で改めてお届けすることが最善の形ではないかという結論に至り、中止という決断を取らせて頂きました。
本公演のために大切なお時間を空けていただき、このような困難な状況下にもハイリンド公演を楽しみにお待ち頂いていたお客様のことを思いますと、誠に断腸の思いでございます。またこんな状況だからこそ、「演劇の力」で微力ながら皆様の心を明るくそして社会を元気にしていきたいという強い思いもございます。しかしながら、舞台演劇はお客様と一緒に作り上げるものです。刻々変化していく状況、使用している稽古場の閉鎖など、公演を主催する側として御来場の皆様の安心・安全の観点から看過できない事象が増えていく中で、感染の収束を最優先にするべく、このような決断とさせて頂きましたこと、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
本公演に関しましては、ご予約頂きましたお客様のチケットをキャンセルとさせて頂きまして、ご入金済みのお客様には払い戻し対応を致します。詳細に関しましては、近日中にご連絡申し上げますのでもうしばらくお時間を頂きたく存じます。
私たちハイリンドもこのような状況になり大変残念でありますが、皆様方におかれましては、楽しみが先に延びたと、未来の公演を楽しみにお待ち頂ければ幸いです。
また近い内に皆様にお会いできることを団員スタッフ一同心より楽しみにしております。
最後に皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
ハイリンド 座長 伊原農
下記クリックで好きな項目へ移動
今回の「グロリア」上演中止は大変残念でした。中止のお知らせも委細を尽くしたもので、観客としてはご判断になった以上、またいい機会に見せていただきたいと思います。しかし、ここからは一市民としての感想ですが、ウイルスくらいで、芝居が撤退するとは情けない。やるほうも見る方も覚悟が足りないと思うのです。ましてや、小劇場、劇団員や劇場関係者に感染者が出たというのならともかく、周囲の空気(要請)で、というのでは「いい子」になりすぎです。〈これでいい子になっていると、次は強権による専制が待っています)戦中生活を知っているものとしては、その葛藤を超えておかないと、いざというときに戦える芸術にならない。大戦中、空襲下、渋谷の映画館(現在の渋谷東宝シネマのある敷地です)で初演された「女の一生」や、昭和18年に帝劇で「花咲く港」を開けた演劇人は、新劇にも、商業演劇にもいたのです。貴劇団は、警世のテーマを持ついい作品を上演されていて、日ごろ敬服しております。今後のご活躍を期待しております。